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発達障害とは

発達障害は「生まれつきの脳の働き方のかたよりによって、生活のなかで困りごとが生じやすい状態」を指すことばです。病気とは異なり、育て方が原因でもありません。

かんたんにいうと

  • 発達障害は、生まれつきの脳の働き方のちがいです。
  • 病気ではありません。育て方のせいでもありません。
  • 困りごとは、本人とまわりの環境の組み合わせで変わります。

発達障害とは何か

発達障害とは、生まれつきの脳の働き方のかたよりによって、日常生活や学校・職場で困りごとが生じやすい状態をまとめて指すことばです。医学的には神経発達症(neurodevelopmental disorders)と呼ばれるグループにあたります。

大切なのは、発達障害は「その人のなかだけにある欠陥」ではないという見方です。同じ特性でも、周囲の理解や環境の整え方によって、困りごとの大きさは大きく変わります。読み書きが苦手な子どもも、音声で読み上げる道具があれば教科の内容そのものは理解できることがあります。困難は本人と環境のあいだに生じる、という考え方が、いまの支援の土台になっています。

法律ではどう定義されているか

日本では発達障害者支援法(2005年施行、2016年改正)が定義を置いています。同法 第2条では、発達障害を次のように定めています。

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの

この条文は、法律ができた当時(2005年)の診断名で書かれています。医学の診断基準はその後改訂されているため、法律のことばと、いま医療機関で使われる診断名はずれています。下の表のとおり読み替えてください。

法律のことば(2005年)いまの診断名(DSM-5-TR)
自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害自閉スペクトラム症(ASD)
学習障害(LD)限局性学習症(SLD)
注意欠陥多動性障害注意欠如・多動症(ADHD)
(記載なし)発達性協調運動症(DCD)

主な分類

発達障害はひとつの状態ではなく、いくつかの特性の集まりです。本サイトでは次の4つを中心に扱い、そのうえで「重なり」と「診断の流れ」を別ページで扱います。

ASD(自閉スペクトラム症)自閉スペクトラム症(ASD)とは人との関わり方と、興味やこだわりのあり方に特徴があります。感覚の過敏さ・鈍感さをともなうことも多く、「スペクトラム(連続体)」の名のとおり、あらわれ方は一人ひとり大きく違います。ADHD(注意欠如・多動症)注意欠如・多動症(ADHD)とは不注意(集中の向け方)と、多動性・衝動性(動きやブレーキのかかり方)に特徴があります。「やる気がない」「性格の問題」と誤解されやすい特性です。SLD(限局性学習症)限局性学習症(SLD・学習障害)とは全般的な知的発達には遅れがないのに、読む・書く・計算するといった特定の学習だけが著しく難しい状態です。努力不足や勉強不足とは異なります。DCD(発達性協調運動症)発達性協調運動症(DCD)とは年齢や練習量に見合わないほど、体の動きの「協調」が難しい状態です。日本では知られていないことが多く、「運動が苦手なだけ」「不器用なだけ」で見過ごされがちな特性です。併存とグレーゾーン併存とグレーゾーン発達障害は「ASDかADHDかどちらか」ではありません。重なることのほうが多く、診断名がひとつでも困りごとがひとつとは限りません。診断基準を満たさない場合も、支援が必要ないという意味ではありません。診断・検査の流れ診断・検査の流れ「どこに行けばいいのか分からない」でつまずく方がとても多い部分です。子どもの場合と大人の場合に分けて、最初の一歩から順に説明します。用語集発達障害の用語集相談窓口や学校の書類には、聞き慣れないことばがたくさん出てきます。意味が分からないまま話が進むと、必要な選択ができません。よく出てくる用語をまとめました。

「発達障害」についてのよくある誤解

誤解1:親の育て方が原因である

原因ではありません。 発達障害は生まれつきの脳の機能の特性によるもので、しつけや愛情のかけ方によって生じるものではないと考えられています。この誤解は、保護者を強く追いつめる一方で、必要な支援に手が届くのを遅らせます。

誤解2:治療すれば「治る」

発達障害は病気ではないため、「治る」「治らない」という枠組みではとらえません。 特性そのものがなくなるわけではありませんが、環境を調整し、本人に合ったやり方を見つけることで、困りごとは確実に減らせます。ADHDのように、薬によって症状を和らげる選択肢がある場合もあります。

誤解3:知的な遅れが必ずある

必ずしもありません。 知的発達症(知的障害)をともなう場合もあれば、知的な遅れがまったくない場合もあります。知的な遅れがないと、困難が「本人の努力不足」と誤解されやすく、かえって支援につながりにくいことがあります。

誤解4:大人になれば自然になくなる

特性は続きます。ただし、あらわれ方は年齢とともに変わります。子どものころに目立った多動が、大人では「落ち着きのなさ」や「段取りの苦手さ」として現れることがあります。大人になってはじめて診断を受ける人も珍しくありません。

誤解5:どれかひとつに当てはまる

実際には重なることのほうが多いというのが現在の理解です。DSM-5(2013年)からはASDとADHDを同時に診断できるようになりました。詳しくは併存とグレーゾーンをご覧ください。

どれくらいの人がいるのか

文部科学省が2022年に実施した調査では、小中学校の通常の学級に在籍する児童生徒のうち、学習面または行動面で著しい困難を示すとされた児童生徒は8.8%でした(高校では2.2%)。

困ったときにどこへ行くか

「もしかして」と思ったときの相談先は、住んでいる地域に必ずあります。全国の窓口は相談先・リンクにまとめました。

診断を受けるまでの具体的な流れは診断・検査の流れで説明しています。

出典

最終更新 執筆 sin(ADHDとASDの兄弟を育てています。)