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発達障害の用語集

相談窓口や学校の書類には、聞き慣れないことばがたくさん出てきます。意味が分からないまま話が進むと、必要な選択ができません。よく出てくる用語をまとめました。

かんたんにいうと

  • むずかしいことばの意味をあつめました。
  • 読み方と、昔のよび方ものせています。
  • 分からないことばは、そのままにしなくて大丈夫です。

制度や手当の金額・要件は改定されます。ここでは仕組みの説明にとどめ、具体的な金額や申請の要件は書いていません。 最新の内容は、必ずお住まいの自治体の窓口でご確認ください。

診断名・特性

神経発達症群しんけいはったつしょうぐん神経発達障害群/neurodevelopmental disorders
DSM-5-TR で使われる大きな分類。発達の早い時期にあらわれ、生活や学習に影響する状態のグループを指します。ASD・ADHD・SLD・DCD・知的発達症・コミュニケーション症群などが含まれます。日本の法律でいう「発達障害」とは範囲が完全には一致しません。くわしく
自閉スペクトラム症じへいすぺくとらむしょうASD/自閉症スペクトラム障害
人との関わり方と、興味やこだわりのあり方に特徴がある状態。感覚の過敏さ・鈍感さをともなうことも多くあります。2013年のDSM-5で、自閉性障害・アスペルガー障害・広汎性発達障害などがひとつにまとめられました。くわしく
注意欠如・多動症ちゅういけつじょ・たどうしょうADHD/注意欠陥多動性障害
不注意(集中の向け方)と、多動性・衝動性(動きやブレーキのかかり方)に特徴がある状態。12歳になる前から症状があり、2つ以上の場面で見られることが診断の条件に含まれます。くわしく
限局性学習症げんきょくせいがくしゅうしょうSLD/学習障害/LD
全般的な知的発達に遅れがないのに、読む・書く・計算するといった特定の学習だけが著しく難しい状態。DSM-5-TRでは読字・書字表出・算数の3領域ですが、文部科学省の「学習障害」は聞く・話す・推論するを含む6領域で、範囲が異なります。くわしく
発達性協調運動症はったつせいきょうちょううんどうしょうDCD
年齢や練習量に見合わないほど、体の動きの協調が難しい状態。5〜11歳の子どもの5〜6%とされます。「不器用なだけ」で見過ごされやすく、日本の発達障害者支援法の条文にも明示されていません。くわしく
アスペルガー症候群あすぺるがーしょうこうぐんアスペルガー障害
かつて使われていた診断名。2013年のDSM-5で自閉スペクトラム症に統合され、現在の診断基準では使われていません。すでに診断を受けた方の診断名が無効になるわけではありません。くわしく
広汎性発達障害こうはんせいはったつしょうがいPDD
自閉性障害・アスペルガー障害などをまとめて指していた旧来の分類。現在は自閉スペクトラム症に統合されています。発達障害者支援法(2005年)の条文には、この名称のまま残っています。くわしく
知的発達症ちてきはったつしょう知的障害/知的能力障害
論理的思考や判断、学習、日常生活に必要な能力の発達に遅れがある状態。神経発達症群に含まれます。発達障害と併存することもあれば、まったくともなわないこともあります。くわしく
グレーゾーンぐれーぞーん
医学的な診断名ではありません。診断基準をすべては満たさないものの、生活のなかで困りごとがある状態を指す通称。診断がつかなくても、学校での配慮も公的機関への相談もできます。くわしく
二次障害にじしょうがい二次的な困りごと
特性そのものではなく、うまくいかない経験や叱責の積み重ねから生じる困りごと。不安、気分の落ち込み、不登校、対人関係の回避など。特性そのものより深刻になり得る一方、環境を整えることで予防できる部分が大きいものです。くわしく
感覚過敏・感覚鈍麻かんかくかびん・かんかくどんま感覚特性
音・光・におい・肌ざわりなどの刺激を、強く感じすぎる(過敏)/気づきにくい(鈍麻)状態。DSM-5からASDの診断基準に正式に加わりました。本人にとって最も生活に直結する特性であることが少なくありません。くわしく
カモフラージュかもふらーじゅマスキング
周囲に合わせて特性を隠したり、ふるまいを意識的に真似したりすること。特に女性のASDで指摘され、気づかれにくさ・診断の遅れにつながります。本人は強い疲れを抱えていることがあります。くわしく
微細運動・粗大運動びさいうんどう・そだいうんどう
微細運動は指先を使う動き(ボタン、はさみ、鉛筆)、粗大運動は体全体を使う動き(走る、跳ぶ、投げる)。DCDではどちらか一方、または両方に困難があらわれます。くわしく
ディスレクシアでぃすれくしあ読字障害/発達性読み書き障害
読むことの困難。文字を音に変えるのに時間がかかる、行を飛ばす、読めても内容が入ってこないなど。日本語では漢字でつまずきが目立つことがあります。くわしく
ディスグラフィアでぃすぐらふぃあ書字障害/書字表出障害
書くことの困難。文字の形が整わない、書き写しに極端に時間がかかるなど。原因が手の動き(DCD)にあるのか、文字と音の結びつきにあるのかで、有効な支援が変わります。くわしく
ディスカリキュリアでぃすかりきゅりあ算数障害
算数の困難。数の大小の感覚がつかみにくい、繰り上がりでつまずく、文章題で何を聞かれているか分からないなど。くわしく

検査・診断の道具

DSM-5-TRでぃーえすえむふぁいぶてぃーあーるDSM-5/精神疾患の診断・統計マニュアル
アメリカ精神医学会がまとめている診断基準。2013年のDSM-5、2022年のテキスト改訂版(TR)が最新です。日本の医療機関でも広く使われています。書籍のため、オンラインでの無料閲覧はできません。くわしく
ICD-11あいしーでぃーいれぶん国際疾病分類
WHO(世界保健機関)による国際的な分類の第11回改訂版。日本の公的統計や制度はICDを基準にしています。オンラインで無料で閲覧できます。くわしく
WISCうぃすくWISC-V/ウェクスラー式知能検査(児童版)
5歳0か月〜16歳11か月を対象とした知能検査。合計のIQよりも、領域ごとの得意・不得意の差(ばらつき)を見ることに意味があります。結果は必ず説明を受けてから受け取ってください。くわしく
WAISうぇいすWAIS-IV/ウェクスラー式知能検査(成人版)
16歳以上を対象とした知能検査。大人の発達障害の相談で使われることが多い検査です。くわしく
田中ビネー知能検査たなかびねーちのうけんさ
2歳から成人までを対象とした知能検査。精神年齢と知能指数を求めます。療育手帳の判定などにも使われます。くわしく
新版K式発達検査しんぱんけーしきはったつけんさ
乳幼児から成人までを対象とした発達検査。姿勢・運動、認知・適応、言語・社会の3領域で発達の様子を見ます。乳幼児期の相談でよく使われます。くわしく
ADOS-2 / ADI-Rえーどすつー / えーでぃーあいあーる
ASDの評価に使われる専門的な道具。ADOS-2は本人の行動を観察して評価し、ADI-Rは養育者への半構造化面接で生育歴を聞き取ります。実施する医療機関は限られます。くわしく
生育歴せいいくれき
生まれてから現在までの育ちの記録。発達障害の診断基準には「発達の早い時期から」という条件があるため、特に大人の診断では最も重要な情報になります。母子健康手帳や小学校の通知表が手がかりになります。くわしく

法律・制度

発達障害者支援法はったつしょうがいしゃしえんほう
2005年施行、2016年改正。第2条に「発達障害」の法律上の定義があります。条文は2005年当時の診断名(自閉症、アスペルガー症候群、学習障害、注意欠陥多動性障害)で書かれているため、現在の医学的な診断名とはずれがあります。くわしく
合理的配慮ごうりてきはいりょ
障害のある人が困りごとを取り除くために求める、負担が重すぎない範囲での調整。テスト時間の延長、タブレットの使用、席の位置の変更などが例です。2024年4月1日から、民間事業者にも提供が義務づけられました。くわしく
障害者差別解消法しょうがいしゃさべつかいしょうほう
障害を理由とする不当な差別を禁じ、合理的配慮の提供を求める法律。2016年施行、2024年4月の改正で民間事業者の合理的配慮が努力義務から義務になりました。学校・職場・お店に配慮を求めるときの根拠になります。くわしく
社会モデルしゃかいもでる
障害は本人のなかだけにあるのではなく、本人と環境(社会の側の仕組みや理解)のあいだに生じる、という考え方。いまの支援や法制度の土台になっています。くわしく

学校・教育

特別支援教育とくべつしえんきょういく
障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズに応じて行われる教育。通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校のいずれでも行われます。くわしく
通級による指導つうきゅうによるしどう通級指導教室
通常の学級に在籍しながら、一部の時間だけ別の教室で個別の指導を受ける仕組み。在籍は通常の学級のままです。くわしく
特別支援学級とくべつしえんがっきゅう支援級
小・中学校に置かれる少人数の学級。在籍そのものが特別支援学級になります。通級との違いは、どちらに在籍するかという点です。くわしく
特別支援教育コーディネーターとくべつしえんきょういくこーでぃねーたー
各学校に指名されている、特別支援教育の窓口となる教員。校内の調整、保護者の相談、外部機関との連携を担います。学校に配慮を相談するときの入口です。くわしく
就学相談しゅうがくそうだん
小学校入学(または進学)にあたって、どの学びの場が合うかを教育委員会と一緒に考える手続き。自治体によって申込時期が決まっているため、早めの確認が必要です。くわしく

福祉サービス・お金

受給者証じゅきゅうしゃしょう通所受給者証
児童発達支援や放課後等デイサービスを利用するために市区町村が交付する証明書。障害者手帳とは別のもので、医師の意見書などで申請できます。手帳がなくても取得できる場合があります。くわしく
放課後等デイサービスほうかごとうでいさーびす放デイ
就学中の子どもが放課後や長期休暇に通う福祉サービス。利用には受給者証が必要です。事業所によって内容の方針が大きく異なります。くわしく
療育手帳りょういくてちょう愛の手帳/みどりの手帳
知的障害のある人に交付される手帳。名称や判定基準は自治体によって異なります。知的障害をともなわない発達障害の場合は、精神障害者保健福祉手帳が対象になることがあります。くわしく
精神障害者保健福祉手帳せいしんしょうがいしゃほけんふくしてちょう
発達障害を含む精神疾患のある人が対象となる手帳。1〜3級があり、税の控除や公共料金の割引、障害者雇用での就労などにつながります。原則として初診から6か月以上経過していることが必要です。くわしく
自立支援医療じりつしえんいりょう精神通院医療
通院にかかる医療費の自己負担を軽くする制度。精神科への通院が続く場合に、負担が原則1割になります。申請先は市区町村の窓口です。くわしく
特別児童扶養手当とくべつじどうふようてあて
一定の障害のある20歳未満の子どもを育てている人に支給される手当。所得制限があります。金額や要件は改定されるため、必ず市区町村の窓口で最新の内容を確認してください。くわしく
就労移行支援しゅうろういこうしえん
一般就労を目指す人が、訓練や職場探し、就職後の定着支援を受けられる福祉サービス。原則2年間利用できます。くわしく
障害者雇用しょうがいしゃこようオープン就労
障害者手帳を持つ人を対象とした雇用の枠。特性を開示して配慮を受けながら働く働き方(オープン)と、開示せずに働く働き方(クローズ)があり、どちらにも利点と難しさがあります。くわしく

支援の方法

療育りょういく発達支援
困りごとを減らし、生活しやすくするための働きかけの総称。医学的な治療とは異なり、「治す」ものではありません。児童発達支援や放課後等デイサービスなどで行われます。くわしく
構造化こうぞうか
いつ・どこで・何を・どこまでやるのかを、目に見える形ではっきりさせること。ASDの支援でよく使われる考え方です。くわしく
視覚支援しかくしえん絵カード/スケジュール表
予定や手順を、ことばだけでなく絵・写真・文字で示すこと。聞いて覚えることが苦手な場合に、見通しを持ちやすくします。くわしく
ソーシャルスキルトレーニングそーしゃるすきるとれーにんぐSST
あいさつ、順番を待つ、断る、助けを求めるといった、人との関わりに必要なやり方を具体的に練習する取り組み。くわしく
ペアレントトレーニングぺあれんととれーにんぐペアトレ
保護者が、子どもへの関わり方を学ぶプログラム。叱る回数を減らし、できていることに注目する関わりへ切り替えていくことを目指します。自治体や医療機関が実施しています。くわしく

専門職・相談機関

発達障害者支援センターはったつしょうがいしゃしえんせんたー
各都道府県・政令指定都市に設置されている相談窓口。診断の有無にかかわらず、子どもも大人も無料で相談できます。どこに行けばよいか分からないときの最初の連絡先です。くわしく
精神保健福祉センターせいしんほけんふくしせんたー
各都道府県・政令指定都市に設置されている、こころの健康全般の相談窓口。大人の相談先としても使えます。くわしく
児童発達支援センターじどうはったつしえんせんたー
就学前の子どもに対する発達支援の中心となる施設。通所での支援のほか、地域の相談や、保育所などへの助言も行います。くわしく
作業療法士さぎょうりょうほうしOT
動作の分析にもとづいて、日常生活の動きをしやすくする方法を一緒に探す専門職。DCD(不器用さ)や感覚の困りごとの相談先になります。くわしく
言語聴覚士げんごちょうかくしST
ことば・聞こえ・飲み込みの専門職。ことばの発達がゆっくりな場合や、コミュニケーションの相談先になります。くわしく
乳幼児健診にゅうようじけんしん1歳6か月児健診/3歳児健診
市区町村が実施する健康診査。発達の相談につながる最初のきっかけになることが多い場です。気になることは、この場で伝えておくと次につながります。くわしく

出典

最終更新 執筆 sin(ADHDとASDの兄弟を育てています。)