発達のとびら 発達障害の情報を、ひとつの入口から

雇用する側・上司の方へ

「どう接すればいいか分からない」という声をよく聞きます。答えは、接し方より情報の渡し方です。多くの調整は費用がほとんどかからず、他の従業員にも効きます。

かんたんにいうと

  • 特別な接し方は必要ありません。
  • 指示の出し方を変えるだけで、成果が変わります。
  • 会社が使える公的な支援があります。

まず押さえたい前提

特別な接し方は要りません

「気を遣わなければ」と身構える必要はありません。必要なのは態度の変更ではなく、情報の渡し方の変更です。

能力の問題ではないことが多い

指示が伝わらない、締め切りを落とす、報告が上がってこない。これらは能力不足に見えますが、渡され方が合っていないだけであることがよくあります。

同じ人が、指示を文書にしただけで評価が変わる、というのは珍しい話ではありません。

法律上の位置づけ

「過重な負担」にあたる場合は断れますが、その場合も代替案を一緒に検討することが求められます。 「できません」で終わらせないことが要点です。

今日から変えられること

以下はいずれも費用がほとんどかからず、他の従業員にとっても働きやすくなる調整です。

指示の出し方

いま変える
「適当にやっといて」「◯◯の形式で、△日までに、□までやってください」
口頭だけ口頭+チャットで一言残す
まとめて5件依頼優先順位を付けて渡す。「1番はこれです」
「なるべく早く」具体的な日時を言う
完了条件が曖昧「どうなったら終わりか」を言葉にする

情報の共有

環境

進め方

やらないほうがよいこと

避けたいこと理由
本人の同意なく周囲に伝える開示の範囲は本人が決めることです。人事情報の取り扱いにも関わります
「みんなできているよ」と言う比較は改善につながらず、自信だけを削ります
「気をつけて」で終わらせる注意で解決するなら既に解決しています。仕組みを一緒に考えてください
良かれと思って仕事を全部外す役割がなくなることは、本人にとって配慮ではありません
その場で急に方針を変える変更は事前に伝えるだけで負荷が大きく下がります

会社が使える公的な支援

支援を受けられるのは本人だけではありません。 会社側が使える仕組みがあります。

ジョブコーチ(職場適応援助者)

支援者が実際に職場に来て、本人と会社の双方に助言します。 作業の教え方、指示の出し方、周囲への説明の仕方まで具体的に相談できます。

窓口は地域障害者職業センター(各都道府県)です。

各種の助成金

障害者を雇い入れる場合や、職場環境を整備する場合に使える助成金の制度があります。内容と要件は改定されるため、ハローワークまたは高齢・障害・求職者雇用支援機構にご確認ください。

ハローワークの障害者専門窓口

採用の相談から、雇用後の定着支援まで相談できます。

障害者就業・生活支援センター

在職者の相談にも対応しています。生活面の課題が仕事に影響している場合、会社だけで抱えずに済みます。

採用の場面で

法定雇用率

時期民間企業の法定雇用率対象となる事業主
2024年4月〜2.5%常用労働者40.0人以上
2026年7月〜2.7%常用労働者37.5人以上

対象となる企業の範囲が広がっています。これまで対象外だった規模の会社が新たに対象になるため、早めの準備が必要です。

面接で見るとよいこと

定着のために

採用より定着のほうが難しい、というのが実務上の共通認識です。効くのは大がかりな制度ではなく、相談できる相手が1人決まっていることです。

「困ったら誰に言えばいいか」がはっきりしているだけで、離職はかなり防げます。

最後に

発達障害のある人が職場で力を発揮できるかどうかは、本人の努力より環境の設計で決まる部分が大きくあります。

そして環境を設計できるのは、本人ではなく管理する側です。ここに書いたことのうち1つでも試してみてください。多くは今日から、費用なしで始められます。

出典

最終更新 執筆 sin(ADHDとASDの兄弟を育てています。)